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HBOCと遺伝の形式

遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)にみられるBRCA1またはBRCA2遺伝子の病的な変異は、性別を問わず親から子へ2分の1(50%)の確率で受け継がれます。この病的な変異が男性に遺伝した場合、その男性が乳がんになる確率は低いものの、その子どもに50%の確率で遺伝します。

※遺伝性乳がん卵巣がん症候群と呼ばれることもあります。
*日本乳癌学会(編) 患者さんのための乳がん診療ガイドライン

BRCA遺伝子の遺伝

BRCA遺伝子の遺伝 | 遺伝性乳がん | 乳がん.jp

BRCA遺伝子の働き

BRCA遺伝子は、誰もがもっている遺伝子の1つで、DNAの傷を修復して、細胞ががん化することを抑える働きがあります。
からだの設計図であるDNAは、健康な人でも紫外線や化学物質などの刺激によって日常的に傷つけられています。しかし、通常は、BRCA遺伝子などの働きによって傷ついたDNAが修復され、がん化が抑えられます。
HBOC のかたでは、BRCA遺伝子に病的な変異があり、働きが失われています。そのため、DNAの正常な修復が妨げられ、乳がんや卵巣がんになりやすくなると考えられています。

DNA修復のしくみとBRCA遺伝子

BRCA遺伝子について | 遺伝性乳がん | 乳がん.jp

家族性乳がんと遺伝性乳がん

家系内に乳がんになった人が複数いる場合、乳がんになりやすい体質を受け継いでいることがあります。これを「家族性乳がん」といいます。親、子、姉妹の中に乳がんの患者さんがいる女性は、いない女性に比べて2倍以上乳がんになりやすいことがわかっています。乳がんになった親族の人数が多いと、さらにリスクは高くなります。
このうち、HBOCのように、遺伝が原因であることがはっきりしているものが「遺伝性乳がん」です。

【参考】乳がんと関連がある遺伝子

遺伝性乳がんがすべてHBOCというわけではありません。乳がんに関連のある遺伝子としては、次のようなものが知られています。

乳がんと関連がある遺伝子 | 遺伝性乳がん | 乳がん.jp 三木義男. 産科と婦人科. ; 82: 599-604.より一部改変

BRCA1/2遺伝子検査

生まれたときから持っているBRCA遺伝子の情報を調べる検査で、採血により行われます。検査の結果、BRCA1遺伝子かBRCA2遺伝子のどちらかに病的な変異がみられた場合、遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)と診断されます。
BRCA遺伝学的検査の主な目的は、将来の乳がんや卵巣がんなどの発症リスクを把握しておくことで、予防や検診などの医療的措置につなげることにあります。また、がんを発症している患者さんについては、適切な治療法を選択するために行われることもあります。BRCA遺伝学的検査の費用は、乳がん患者さんのうち、一部の方で保険適用となります。