遺伝学的リスク
#遺伝性乳がん
乳がん患者さんのなかには、ご自身の母親や姉妹も乳がんだったというようなケースがあります。このような乳がんの発生には、遺伝的な要因が強く関与していることがあります。
乳がん全体の7~10%#は遺伝性の乳がんであるといわれており、遺伝性乳がんのうち58%§を占めているのが、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)です。
#Kauff ND. Management of BRCA-Negative Hereditary Breast Cancer Families. Hereditary Breast Cancer. Isaacs C. CRC Press, New York, ;311-318.
§Tung N, et al. J Clin Oncol. ; 34(13): 1460-1468.
現在では、下の表に示したような乳がんに関連のある多くの遺伝子が見つかっています。なかでもBRCA1 および BRCA2の2つの遺伝子がよく知られており、これらの遺伝子はいずれもDNAの修復に不可欠な要素と考えられています。
BRCA1、BRCA2遺伝子に病的な変異がある場合は乳がんだけでなく、卵巣がん、膵臓がんなどを発症するリスクも高まるといわれています。BRCA1 もしくは BRCA2遺伝子の病的な変異が確認された場合、HBOCと診断されます。